VIPPRE スネ夫がジャイアンに立ち向かうようです
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スネ夫がジャイアンに立ち向かうようです

スネ夫がジャイアンに立ち向かうようです

1 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:22:05.68 ID:C85AzysE0
スネ夫、このラジコン貸せ!」
まただ。
こいつは毎日のように僕のおもちゃを奪っていく。
そしてそのラジコンは――――――
「ああ!!壊れちまった。俺は悪くねえぞ。じゃあな!!」

逃げるように帰っていく。否。まるで自分は悪くない。壊れたラジコンが悪いという
面持ちで帰っていった。

―――――――一体、何台のラジコンを破壊されたのだろうか。30台からは数えていない。

「もういやだ・・・・・」

――――――僕はある決心をした。

「――――ジャイアンを倒そう―――――」

―――――或る晴れた5月の日のことだった。



スネ夫がジャイアンに立ち向かうようです


3 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:22:52.80 ID:C85AzysE0
――――頭のいい僕は分かっている。
まともにやりあったところで、返り討ちにされることを。
故に、必要になるのは協力者。それも決して裏切らない、信用できる人物だ。

「そうなると・・・一人いるにはいるな・・・・」

――――野比のびた。彼もジャイアンには幾度もひどい目に合わされている。

「でも、のびたじゃなぁ・・・・」
しかし、彼はいかんせん腕力がない。二人がかりでも戦力にならないのでは意味を成さない。
当然、ドラえもんも候補に挙がることになるが、ドラえもんは優しすぎる。
ジャイアンへの制裁には不向きだ。

しかし、ジャイアンを倒すにはなにも腕力ではなくてはない。という道理はない。
もとより、腕力で勝てる者が今まで現れなかったからこそジャイアンは今の位置にいるのだ。

「なら・・・・出来杉がいいな・・・・・」
僕は出来杉がいつも通っている本屋さんに足を伸ばした。



4 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:23:49.97 ID:C85AzysE0
「ここか・・・・」
出来杉が通っている本屋さんまでにはなかなか距離がある。
ここまで毎日のように通う出来杉は余程の本好きなのだろう。

「おや?骨川くんじゃあないか。こんにちは。」
気さくに話しかけてくる。こいつには嫌味が全くない。
ジャイアンが腕力(ちから)でのし上がったのなら。
彼もまた、その人柄(ちから)で人を惹き付けるのだろう。

「頼みたいことがあるんだ。」
早速切り出そうと思ったが、さっすがに立ち話では彼に申し訳ない。

僕らは、近くの喫茶店で話すことにした。


6 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:24:55.08 ID:C85AzysE0
―――――――で、なんだい?頼みたいことって。」
注文したオレンジジュースを一口飲み、出来杉は切り出した。
さすがクラス一の人気者、相談を受けるのは慣れているといった面持ちで僕の話を聞く。

「・・・・・・ジャイアンのことなんだ・・・・」
そのことか、そう言いながら彼はまたオレンジジュースを一口飲む。

「剛田くんのことか・・・・たしかに、最近の彼の素行には問題が多い。」
「出来杉も、なにかやられたのかい?」

――――――分かりきったことだ。今やクラスにジャイアンの被害に合っていない者などいない。

「まあね、宿題をね。終わっていないという制止も聞かずに強引にね。」
そういえば覚えている。
宿題なんて忘れたことのなかった彼が一度だけ宿題のノートごと忘れてきた日があったことを。

「それで、どうするというんだい?」
半ばあきらめたように、彼は言った。



「――――――――ジャイアンを、倒そうと思う。」

本題を口にした。


8 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:27:20.28 ID:C85AzysE0
出来杉が一瞬静止した。そして口を開いた。

「本気かい!?今までそんなことを考えたものはいない。否。考えられなかったんだ!!
剛田くんの腕力(ちから)の前には、どんな思考も通用しないんだ!!!」

――――その通りだ。自分でも、こんな馬鹿なことを考える頭が馬鹿らしくってしょうがない。

「分かっている・・・・でも、やるしかないんだ。」
やると決めたからここまで来たんだ。
ここまで来てやらないのなら、僕は出来杉とただお茶を飲んだだけになる。

「だからお願いだ!!力を貸してくれ!!!君の頭が必要なんだ!!!」
出来杉は明らかに戸惑っている。
それもそうだ。昨日までの僕だったら、こんな事、絶対に考えない。

「君は腕力に屈していいのか?君の頭脳は屈服するためにあるんじゃあないだろ!?
頼む!!」
生まれて初めて、ここまで人に頭を下げた。

―――――――なんて無様なんだ。

そう思ったとき。

「――――――――ああ。一緒に剛田くん、いやジャイアンを倒そう!!」


10 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:28:53.82 ID:C85AzysE0
「ということは、やっぱり力で?」
「そうなるね、ジャイアンは『勉強』で負けたとこで、劣等感を感じる男じゃない。
つまり、結局は体で分からせるしかない。」

出来杉を我が家に呼び、ジャイアンを倒すための考えをまとめていた。
なんとなく予想はしていたが、ジャイアンは知力で負けてもびくともしないどころか、そのストレ
スを周りで発散させるだろう。という結論に至った。

「でも、腕力じゃ勝てないから知力に――――」
「そうだね。でも、科学の力をうまく使えば勝てるんじゃないかな?」
僕の言葉を遮るように言う。
「科学の力?・・・・・・・・そうか――――」

ドラえもん。あの不思議なポケットから現れる数多の概念武装(どうぐ)なら―――――

「じゃあ、のびたの家に。」
「いってみよう」


13 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:31:48.11 ID:C85AzysE0
「――――――でも、ドラえもんが協力してくれるかな?」
そうだ、出来杉を訪ねる前にドラえもんの助っ人も考えた。
しかし、ドラえもんは優しすぎる。という理由で却下にしたのだ。
「大丈夫だよ。いくらドラえもんでも、クラス全員が被害に合ってると知れば――――」
協力してくれるさ。そう安心した顔で続けた。


「手伝ってあげたいのは山々なんだけど・・・・」
のびたはお使いに行っていていないようだが、ドラえもんには全て話した。
それでも、ドラえもんの口調は重い。
「なんで無理なのさ?」
思わず理由を聞く。ドラえもんがここまで思い詰めるのもあまりない。



「――――――タイムパトロールから、概念武装(どうぐ)の使用を禁止されちゃったんだ。」



18 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:34:00.34 ID:C85AzysE0
―――――概念武装(どうぐ)の禁止。
聞いた話によるとそれはタイムパトロールからの文字通りの「警告」だ。

理由としてまず一つ。
先祖の更正。これは時として歴史に大きな意味を残してしまう。
例えば、大きな戦争が過去にあったとして、その指導者の子孫が過去にやってきて、
先祖である指導者を戦争が始まる前から更正させてしまい、その結果戦争が起きなかったら―――
分かりきったことだ、それはそのまま「死んだはずの人間が未来の世界で突如現れること」になる
故に、本来は先祖の更正なんてあってはならない。
さらに、ドラえもんはその手段として、たくさんの概念武装(どうぐ)を使った。

それは、そう――――――過去の人間に、未来を見せてしまったことになる。
本来はそれだけで未来は変わる。今まで大きな改変がなかった事こそ奇跡だ。
だが、これ以降こんな奇跡が続く保証はない。
タイムパトロールが時間旅行を禁止するのは当然の事と言える。

しかし、ドラえもんは過去、未来の時間事件を多く解決した。
それ故、タイムパトロールはドラえもん個人の概念武装(どうぐ)の禁止。という温情処分にした


「僕に残された概念武装(どうぐ)使用はあと3回。1回は未来に帰るために使うから―――」

分かっている。
実質あと2回ということだ。否。これ以上使ったら、未来に帰ってドラえもんがどんな目に合うか
それは想像してはいけないことだ。

「――――――ごめんね。」
心底悲しそうに、ドラえもんは言った。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/24(土) 11:34:56.59 ID:liZ/GCPk0
―――――――― ←これ多過ぎじゃね?

23 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:35:36.66 ID:C85AzysE0
「こっちも、ごめんな・・・・」
僕らも謝った。

――――そのとき
「ドラえもん!!大変だ!!!しずちゃんが。しずちゃんが~~!!!」

ただ事ではない様子でのびたが入ってきた。

「どうしたの?のびたくん」
のびたは落ち着かない様子でドラえもんに話し始めた。
なにを言っているのか、支離滅裂だったが。何となく分かった事は。


――――――しずちゃんが、ジャイアンの家にさらわれた。ということだった。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/24(土) 11:36:35.77 ID:4SapxZFJ0
レイープフラグktkrwwwwwww

28 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:36:42.82 ID:C85AzysE0
――――走った。
――――奔った。
――――疾った。

「無事でいてくれよ――――」

すべての思考は「そこ」に向いていた。

―――――遅いかもしれないーーー

妙な不安などかき消してしまえ。
そのために走った。
出来杉と二人で快足を跳ばす。
ドラえもんとのびたがなぜいないのか、そんなことも考えている暇はない。

――――――何かしたら許さないぞ。
そんな思いでひたすら走った。


31 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:38:12.84 ID:C85AzysE0
interlude

「やめて、剛さ――――」
理解した。自分は今、目の前にいる雄(おとこ)に犯されるためにいるのだと―――――

「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ。分かったか?お前はただのゴミ箱(おんな)なんだよ!!」

――――――なんで自分がこんな目に。

分かっている。
――――それでも理解できない
知っている。
――――知らないふりをしたほうが楽だ。
理解している。
――――そんな器官。なくなっちゃえばいいのに―――――


行為が済み、ガキ大将はまるで落としてしまったお菓子を見るように言った。


「――――――お前ら、勝手にしろ。」



なにも聞こえなくなった――――――――

interlude out



32 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:39:10.02 ID:C85AzysE0
―――――僕の予感は、いつも厭なところで当たってしまう。

彼女の目の焦点はどこにもあっていない。
ただ―――ただ中空を見ていた。
耳に入るは汚い男の声ばかり、その中を―――――

「君達!!!なにをするんだ!!!!」
出来杉の声で奴らは本当に今まで気づかなかったようにこちらを向き。

―――――三人を残し、一斉に出て行った。

僕らはこの三人をくぐり抜け、しずちゃんを助けなくてはならない。
普通に喧嘩をするなら、見知った顔だ。三人ならば、出来杉と一緒に倒せる。
しかし、向こうには人質がいる。故に戦闘難易度は2ランクは上がる。

「僕は三人を止める。その隙にしずちゃんを」
出来杉の提案に頷くだけで答える。

いくら出来杉でも、否。出来杉だからこそ喧嘩ははじめてだろう。
しかし、この安心感は何だろう。

彼と一緒なら、何だってこなせそうな気がする―――――――


34 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:40:27.63 ID:C85AzysE0
タンッという音と共に戦いは始まった。

―――――僕の仕事はただ一つ。
「しずちゃんを助け出すこと。」

故に、三人に構っている暇はない。
もとより、そのために出来杉は三人を受け持ってくれたのだ。
一心不乱にしずちゃんのもとに走る。
しかし、すぐ横では出来杉が戦っている。目がいかないほうがおかしい。

――――その戦況は恐ろしいものだった。
一人が殴る。もう二人が蹴る。前と左右に迫る攻撃、普通なら後ろに下がる。
しかし、事戦闘に対しては、彼は常識的ではなかった。
「フッ!!」
小さなかけ声と同時に双拳が唸る。
彼の双拳はアリエナイ軌道を描き、三人の攻撃を同時に止める。
――――そう、アリエナイのだ。
確かに出来杉の双拳は右腕、左腕と別々に動いた。
しかし、その軌道が三つの攻撃を防ぐ軌道ではなかったのだ。

「―――――ボクサー・・・・」
そうだ、この拳の疾さはボクサー以外にアリエナイ。
しかし、いかなるボクサーでも、拳の軌道を変えるなんて出来ない。
故に彼は尋常なボクサーではない、故に彼の拳は―――――
「自己流・・・・。」
出来杉の戦闘スタイルはボクシングであり、ボクシングでない。
ならば、予測できない軌道を描かないと言える道理はない。


35 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:41:44.03 ID:C85AzysE0
出来杉の戦いを横目に見ながらも、しずちゃんまでたどり着く。

「しずちゃん。大丈夫?」
しずちゃんの体に触れたとき。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
と、聞いた事のない音(こえ)を聞いた。

またそれと同時に、ドカンという音も聞こえ、僕の体は壁に打ち付けられた。

「え?」
ワケガワカラナイ。
これは――――そうだ。

「空気砲―――――!!」
筒の中に圧縮された空気を集め、放出する。
シンプルだが、出力が上がれば人を傷つけ付けることは容易だ。

しかし、問題は飛んできた方向だ。
確かに空気は奴らが逃げて行った方から飛んできた。

「お前ら!なさけねえぞ!!」
ジャイアンの取り巻きどもだ。

その手には、色違いではあるが確かに、空気砲が握られていた。


37 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:42:56.59 ID:C85AzysE0
その手にはなぜ「それ」があるんだ?
「しかし、ジャイアンもいいものをくれるぜ。これがあれば負けっこねぇ。」
なぜそこでジャイアンが出てくるんだ?
「しまっ――――」
出来杉が走りよる。
その体も僕と同じように宙に舞う。

意識がもうろうとしてきた―――――――
出来杉も同じなのだろうか。

「死ね。」

本当に死を覚悟した。
しずちゃんを救えなかった――――――それだけが心残りだった。

「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡で出来ている。

床に転がる三人、空気砲の男。

――――――――四人が吹き飛んだ。

39 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:43:59.04 ID:C85AzysE0
interlude

「ドラえもん。早くしないとスネ夫たちに遅れちゃうよ。」
情けない顔で眼鏡の少年は言う。
この少年はいつもこんな顔をしている。

―――――それでも僕は知ってるよ。
いつも泣き顔のこの少年はだれよりも―――――

「ドラえも~~~~ん」
本当に泣きそうだ。否。もう泣いている。
未来の奥さんを連れて行かれたのだ。彼の心中は察するに余る。

「のびたくん。これから話す事をよく聞いて」
覚悟なんてできている。

「なんだよ~~。早くしなきゃ~~」
この少年を前に向かせるためなら、自分なんていらない。

「このポケットを君にあげる。」

―――――――真の覚悟はこれからだ。



42 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:45:10.20 ID:C85AzysE0
「――――――え?」
少年の涙も止まった。
「君にポケットをあげるっていうのは、本当はやっちゃいけない事なんだ。それをするんだ。
意味は分かるね?」
テストはいつも0点の少年も分かっている。
――――ポケットを渡す意味。
それは文字通り「ドラえもんの死」を意味する。
過去に未来を教えてはならない。だからこそ概念武装(どうぐ)の使用を禁じられた。
そのルールの中で、ドラえもんは「未来を過去の人間に渡す行為」をするのだ。
当然、それをしたドラえもんは、未来に帰っても居場所はない。
他人に蔑まれる生活を送り続けるだろう。
「駄目だよ!!そんなことしちゃ・・・・」
拒もうと思った。
ドラえもんと一緒にいたい。
ドラえもんと一緒に笑い合いたい。
ドラえもんと一緒にずっとずっと――――

「わかった・・・・そんなに言うなら―――――」
ドラえもんはポケットから概念武装(どうぐ)を取り出した。

―――――それは、嘗て僕らを再び結んだもの。
「ウソ800」だった。



45 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:46:33.85 ID:C85AzysE0
―――――「ウソ800」
それは、飲んだ者の発言全てが嘘になる。
これを使って嘗て、未来に帰ってしまったドラえもんを呼び戻したことがある。

それを一気飲みし、ドラえもんは言った。

「―――――野比のびたは、このポケットを受けとらないで逃げ出す。」





interlude out


46 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:47:04.07 ID:C85AzysE0
僕の前で仁王立ちするその姿。
信じられない。

―――――彼が、こんなにも大きく、頼れる背中を見せるなんて。

「大丈夫?スネ夫。出来杉くん。」
その手には、何かが塗られていた。

「あれは・・・・空気銃の素・・・・」
それは指に塗るだけで完成する簡易的な空気砲だ。
「バン」と叫べば空気銃は発動する。
しかし、その弾丸は空気砲のように無制限なわけではない。
両手五指に塗るならば一本の指に各一発ずつ。
故に手ならば10発限定の弾丸。

否。説明には間違いがあった。
かけ声というものは自身に働きかけるもの。
故に、バンよりも自身に働きかける言葉があるならば。それに勝るものはない。

「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡でできている。

これがのびたがのびたを表す言葉だ。

しかし、それと同時に僕は―――――


一つの事実を理解した。



47 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:47:57.43 ID:C85AzysE0
なあ、のびた――――」
「さあ!!こいつらを掃除しよう!!!」
僕の言葉を遮るように、元気にのびたは言った。
僕には、無理矢理元気に見せようとしているように見えた。

「のびたのくせに!!!ドッカ――――ッッ!!」
言い切る前に、彼の手からは空気砲は落ちていた。

まさに最速。
まさに神速。
まさに迅速。
故に最強。

そう思わせるほど、のびたの早撃ちは常軌を逸していた。
四人は逃げ、僕らはしずちゃんを助けた。

否。助けられなかった。
もう、僕らの知っている。源静香はそこにはいなかったんだから。


50 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:48:40.16 ID:C85AzysE0
しずちゃんを病院に連れて行った後。
僕らは野比家に帰ってきた。
のびたの部屋に当たり前にいたもの。
ドラえもんの姿が、そこにはなかった。
「――――やっぱり・・・・」
ドラえもんは帰った―――そう考えるのが普通だ。
「のびくん、可能なら話してくれないかな?」
「うん・・・」
のびたは話しだした。
ポケットを渡した事。
ウソ800のこと。
そして―――――ドラえもんは――――
「そうか――――大変だったんだな。」
出来杉も分かっている。
「大変だった。」そんな言葉では何もならないことを―――――
それでも、のびたはいつもの笑顔で言った。
「ううん。大丈夫。それよりも、ジャイアンを倒さなくちゃ。ドラえもんのために」

もう、今までの泣き虫のびたとは違う。漢の面構えだ。
「それよりも、あいつらはどうして空気砲を?」
のびたの目はすでに敵の武器に向いていた。
確かに、空気砲を奴らがどうやって入手したのか。それは最も気になる。
「ジャイアンが未来人と関係があるんじゃ・・・」
そうとしか考えられない。
ジャイアンが何者かに操られていて、操っている人間が未来人ならば概念武装(どうぐ)を持って
いたのにも説明がつく。
それでも――――
「真相は本人に聞かなきゃ分からない・・・・か。」

51 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:50:28.36 ID:C85AzysE0
概念武装(どうぐ)は聞いたところあと1回しか使えない。
否。空気銃は既にポケットから取り出されているので、空気銃は使えるが。

皆、今日は野比家に泊まった。
―――――波乱の「今日」が過ぎ、嵐の「明日」がやってくる。


5月5日。世間的にはこどもの日と称される日。
外は晴天。
しかし、ニュースに流れる。小学生が起こした強姦事件は僕らの気分を大きく損ねた。
否。もとより損ねるような気分などない。
「――――しずちゃん、大丈夫かな・・・」
重い空気の中切り出した。
のびたのパパとママは昨日から旅行でいない。
よって、朝食は出来杉が作った。

「わからない・・・大丈夫だといいんだけど・・・」
出来杉が答える。
違う――――僕らはこんな後ろ向きじゃいけないんだ。

「―――――誰か、仲間になってくれる人を探さない?」

のびたが提案した。


54 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:51:54.56 ID:C85AzysE0
―――――この町には、ジャイアン派の人間しかいないと言っても過言ではない。
故に、仲間を探すのは至難の技だ。
しかも、ただの人間では駄目だ。
普通の人間だと、未来の概念武装(どうぐ)に太刀打ちできない。
「とは言っても・・・・・見つからないよな。」
町を歩いていても、そんな人間はいない。
当然だ。自身の力をあからさまに鼓舞する者がそこらに存在するはずがない。

そんななか、出来杉が口を開いた。

「神成さんはどうかな?」

55 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:52:31.52 ID:C85AzysE0
interlude

今日も我が家のガラスが割れる。
どこのガキかは分かっている。
剛田剛だ。ジャイアンと呼ばれているガキ大将だ。
いつものように怒鳴っ――――?
いつものように――――――
いつもの―――――
いつも―――――
いつーーーーー
い―――――


interlude out




58 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:53:43.93 ID:C85AzysE0
神成さんの家に着いた。
やけに静かだ。玄関のドアは鍵が閉まっていない。
開けてみると―――――――むせ返るほどに充満した血の臭い。
玄関で倒れている神成さん。
生死の確認なんてする必要もない。
この出血は明らかに致死量を超えていた。
「そんな・・・・」
崩れ落ちるように僕は座り込んだ。
怖かったけど、叱ってくれた神成さん。
本当はすごい優しい、神成さん。

―――――もう、その人の笑顔は見られないんだ。


59 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:54:17.59 ID:C85AzysE0
なんとなくわかった。
どこからか、スパイが見てて僕らの会話の内容を盗み聞いている。
そしてケータイかなにかでジャイアンに知らせている。
もしそうだったとすれば、僕らは仲間を増やせない。

故に、この三人でジャイアンに挑むしかないのだ。

「ああ。乗り込んでやるさ!!」
僕らは、ジャイアンの家に向かった。


61 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:54:52.37 ID:C85AzysE0
ジャイアンの家。
なぜだろう、見た目は変わっていないのに入ってみるとその広さに驚愕する。
「なにか概念武装(どうぐ)を使ったのか?」
誰に言うでもなく呟く。すると

――――――不愉快な笑いと共に奴が現れた。
「ガハハハハハッハッハッハハハハ!!!よく来たな!!!!俺様の城に!!!!!」

確かに、これだけの広さなら充分城と呼べるだろう。
しかし、僕はこいつの笑いが――――どうしても厭だ。

「ジャイアン。お前の好きにはさせない!ドラえもんのために!!」
ドラえもんはコイツのために、責任を感じて帰って行ったんだ。

「ジャイアン!!しずちゃんの仇!!」
しずちゃんはコイツのせいで壊れたんだ。決して許しちゃいけない。

「ジャイアン!!お前は僕のおもちゃのみならず。世界も壊す気か!!」
お前のものは俺のもの。そんなこと、許しちゃいけない。

三人同時にジャイアンに飛びかかった。
「WRYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!!!!」
雄叫びと共に、僕らは一蹴された。
この力はドラキュラセット。簡単に吸血鬼になれる概念武装(どうぐ)だ。

「吸血鬼つながりって訳ね・・・・・」

ふと前を向けば。前には二人の男女が立っていた。


64 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:56:22.53 ID:C85AzysE0
「パパ・・・・ママ・・・・・」
その姿は確かに、旅行に行ったはずの、のびたのパパとママだった。
「ガッッハハハハハハハハ!!!驚いただろう?せいぜい親子で殺し合いな!!!」
言葉を残して去って行く。
最上階に行ったのだろう。

「―――――のびたくん?」
出来杉はのびたに言った。
「君は、この戦いから外れてほしい。親子で殺し合いはさせられない。」
僕も同じ意見だ。ここは僕と出来杉が―――――
「ううん。僕がやる。僕の手で、パパとママを取り戻す!!!」
―――――彼は本当に逞しくなった。

「わかった。じゃあ、僕も付き合うよ。」
出来杉も賛同する。
「スネ夫はジャイアンを頼む。」
のびたはポケットから最後の概念武装(どうぐ)を取り出した。

「―――――名刀”電光丸”」
刀がフルオートで戦闘を行ってくれる概念武装(どうぐ)

「あと一回だったからセミオートになっちゃった。でも、丸腰よりは全然いいよ。」
電光丸を握って走る。

「――――ありがとう。のびた。出来杉」


66 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:57:14.97 ID:C85AzysE0
interlude

城が大きく揺れる。
戦いが始まったのだ。

「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡でできている。

実の両親にも容赦なく空気銃を叩き込む。
その数、8発。

「Reload(補充)」
素をリロードする。
今やリロードすら達人の域にいる。

「ハァ!!!」
出来杉の拳も炸裂する。操られている人形では、出来杉の拳は決して防げない。
それでも、彼らは倒れない。
なぜなら、それは「戦う」以外の事を命令されていないため。倒れずに戦う。

「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡でできている。

終わらない戦いは始まったばかりだ。

interlude out


69 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:58:02.86 ID:C85AzysE0
「ハアハアハア・・・・・」
一体いつまで階段を上ればいいんだ?
そう思ったとき、奴が待ち受ける場所に到着した。

「いい準備体操になっただろ?スネ夫」
びくんと体が硬直する。
その圧倒的存在感。ヒトラーを初めとする一流政治家にもまさる自我。

―――――そう、それはまるで「世界よりも自分が先に現れた」と言っているような雰囲気だった

「どうした?何もしてこないのか?そのおもちゃで。」

―――助かる。

のびたとの友情をおもちゃ呼ばわりされた怒りで。

―――――我を忘れられた。


70 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:58:49.77 ID:C85AzysE0
interlude

終わりの見えない戦い。
否。終わりすら存在しないのでは。と思ってしまうほどの戦いだった。

「でも、体力がね・・・・・」
人間の体には限界がある。
故に、このままだと敗色は濃厚だった。
出来杉も同じ事を考えている事だろう。
なら、勝つ方法を考えるべきだ。

「のびくん!!お母さんたちを操っているもの。それを探すんだ。僕はそれまで食い止める!」
そうだ。僕は知っている。眠った状態のまま人を動かせる概念武装(道具)を。

「風鈴か―――――!!」
必死に捜す。
どこだ?
どこだ?
どこだ?
――――――見つからない。

だったら―――――
「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡でできている。
「Machine-gunning together(一斉掃射)」

上下左右構わず打ちまくった。

interlude out

72 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 11:59:48.95 ID:C85AzysE0
何度と続いた剣戟。
お互いの思いもぶつかる。

「ちい!!なぜスネ夫ごときが打ち合える!!」
ジャイアンも僕と同じ電光丸で戦う。
しかし、おかしな事にジャイアンは僕が電光丸を使っていることに気がつかなかった。
たしかに色は違う。
僕のは白で。
奴のは黒だ。

しかし、見た目は同じなのだから、気がつかないのはおかしい。

「――――ハアハアハア」
お互いの息が切れる。
息を整えながら問う。
「どうしてこんなことをしたんだ。」
「つまらないからだよ。」
ジャイアンは即答した。一体何がつまらないのかを続けて問う。
「全部がだよ!!!母ちゃんも。学校も!!!なにもかも!!!!!」
すべての憎しみを剣にのせてうってくる。



73 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:00:05.88 ID:C85AzysE0
interlude

「Machine-gunning together(一斉掃射)」
所構わず打ちまくる。

そのとき、何か丸いものに当たった。
姿は見えないがあの感触は――――――
「石ころぼうしか―――――」
一度かぶれば誰からも気にされなくなる。
風鈴はそれで隠していた。そう確信し、リロードする。

「Set. Concentrated machine-gunning(セット。集中掃射)」

――――――風鈴は砕け、二人は正気に戻った。

interlude out



74 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:01:01.41 ID:C85AzysE0
「お前はないのか!?全てがくだらないと思うときが!!」
――――そんなこと、僕だってあるさ。
「そうだろう?あるだろう?だから俺様は変えたかった。世界を、俺様を!!!」
ジャイアンの一振りからは電光丸オートにある優雅さがない。自ら解除し、マニュアルで戦うつも
りなのだろう。
僕はその攻撃をうけながすことしかできない。

「たまたま俺様の考えに賛同してくれる人もいてな!その人の概念武装(どうぐ)ならこの通り
なんでもできるのよ!!!」
また力が込められた。
「お前はこんな世界がいいのか!?こんなくだらない世界が欲しいのかよぉ!!」
分かっている。この世界にはいっぱい辛い事があることも。

「――――――――じゃない。」


77 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:01:47.22 ID:C85AzysE0
下からのびたと出来杉が来た。決着は付いたようだ。
『ここは、僕がやる!!手を出さないでくれ』
そう目で伝えた。二人も分かってくれたようだ。

「こんな汚くて、間違いだらけの世界なんて。いらない!!!!!!」
さらに力がこもる。
「――――――か、じゃない」
ジャイアンも辛かったんだ。
だから、腕力を鼓舞し、誇っていた。
「――――じゃない!」
でも、どんなに辛くたって。
この世界は――――



「―――――間違いなんかじゃないんだから―――――――――」



決着はついた。
電光丸がジャイアンの胸に突き刺さる。

「―――――僕の―――勝ちだーー」
「―――――ああ――そして―――俺の負けだ―――――」



81 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:02:59.55 ID:C85AzysE0
「スネ夫!!!」
二人が駆け寄ってくる。
「僕は大丈夫、それより、ジャイアンを。」
ジャイアンは踏み外してしまっただけ。
だから、今からでも間に合う。



「―――――――なかなか面白い余興であったぞ。」

そびえ立つ階段の上に、奴はいた。


「ドラミ――――ちゃん――――」
そう、ドラえもんの妹。
黄金の猫型ロボット。ドラミであった。

「楽しかったけど、もうおしまい。じゃあね。」
ポケットが広がる。その中からは、およそ概念武装(どうぐ)とは言えぬ凶器の類いが現れる。
「―――――じゃ、死んで。」
ドラミの声と同時に凶器は僕ら目がけて飛んでくる。その数、実に1000といえる。

――――ここまでか――――

そう思ったとき、大きななにかが僕らの前に立ちふさがった。


84 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:03:42.72 ID:C85AzysE0
――――――目の前にいるのは、ジャイアンの姿。
しかし、その姿は既にジャイアンではなくなっていた。
「ジャイ・・・・アン・・・・?」
1000もの凶器を身に受けたのだ。
平気なはずがない。
その最期に僕は見た。

「のびたが倒せ。あいつは、のびたじゃなきゃ勝てねえよ」
確かにそう言った。


―――――そして、最強のガキ大将は息を引き取った―――――



85 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:05:05.56 ID:C85AzysE0
――――こいつには勝てない。
全員が震撼し、逃げ出した。
不思議と追っては来なかった。

「――――――――」
全員が放心状態だ。
のびたの両親は一階で眠っている。

――――まさか、真の黒幕があのドラミちゃんだったなんて

誰もが予想していなかった。否。予想できたと言えばできただろう。
兄を自分から奪ったのは、間違いなく野比のびたのいるこの世界なんだから――――

出来杉も僕もすでに戦う意欲を無くしていた。
しかし、ただ一人、のびたは違った。

「―――――ドラミを倒そう。僕らしかいないんだ。」



87 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:06:06.63 ID:C85AzysE0
「無理だよ・・・・」
出来杉も弱気だ。
あんな力に敵うはずがない。
分かっているとのびたは言った。
「うん。人間であるかぎり、ドラミには勝てない。でも、僕に関しては違う。」
あっさりと言う。自分は改造人間だとでも言うつもりなのだろうか。
「ジャイアンの言葉・・・・」
のびたにしか勝てない。それがドラミだ。
しかし、それは概念武装(どうぐ)があればの話。
概念武装(どうぐ)のないのびたでは、結局は太刀打ちできない。

「だったら、ポケットの中に行けばいい。」


89 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:07:14.33 ID:C85AzysE0
ポケットの中に行く?そんなの無理に―――」
僕の言葉を制止し、出来杉が続ける。
「―――――できるのかい?そんな事。」


のびたの話によると。四次元ポケットの中の世界と現実世界をひっくり返すことが出来れば可能
だという。
しかし、そんなことが出来るのは魔術師か魔法使いだ。そんな事、出来っこない。

「そのための、――――――I am the bone of my glass.だよ。」
       ――――――体は眼鏡でできている。

そういえば聞いた事がある。
「――――固有結界」
魔術の最大の神秘と言える大魔術。

「ドラえもんから聞いたんだ、概念武装(どうぐ)なんて、失われた魔術や魔法を再現するため
に作られた物なんだって。」

それが本当に成功するなら。

―――――ドラミに勝てるかもしれない



90 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:08:15.73 ID:C85AzysE0
5月6日。この三日はまさに嵐だった。それも今日で終わりだ。

「――――――行こう。」
のびたを先頭にジャイアン宅へ上がる。

その最上階に、ドラミはいた。



91 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:09:13.72 ID:C85AzysE0
「わざわざ殺されに来たの?えらいわね。」
くすくすと笑いながら言う。

「戦いが始める前に聞きたい。ドラミ、あんたはどうしてこの世界を壊そうとするんだ?」
笑い顔が豹変した。
「あの肥満児が言った通りよ。この世界は腐ってる。お兄ちゃんがいないんじゃ面白くもなんとも
ない。それに――――」

のびたを睨みつけて言う。
「お兄ちゃんを奪った張本人はあんたでしょう?偽物(フェイカー)!!!!」
フェイカーという言葉が気になった。
「あんたのせいでお兄ちゃんは――――許さない!!!」

その目は本当に兄弟の仇を見る目だった。
「偽物(フェイカー)とはどういう意味だ?」
僕はたまらず聞いた。
「あら?いたの?まあ教えてあげるわ。元々、私たち二体には一つずつしかポケットはなかった
でもね、スペアポケットがある。だから二つあるのよ。本来ならお兄ちゃんが真ポケットを持つ
はずだった。あの日まではね・・・・」

――――あの日、言わなくとも分かる。

「ドラえもんの耳がなくなった日か。」
「その通り、耳がないんじゃ猫とは言えない。故にお兄ちゃんがスペアを持つ事になった。
分かった?」

確かに、それなら偽物(フェイカー)と言うのは言い得て妙だ。

――――でも、僕らはその偽物(フェイカー)を勝たせなくっちゃならないんだ。


93 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:10:07.68 ID:C85AzysE0
「あまりダラダラ話してても飽きるし、始めましょうか。」

ポケットが開く。
その一つ一つが必殺。故に、僕らの仕事は―――――
「のびたを守りきる事!」
まずは小手調べか、凶器の数は20。
これぐらいなら避けられる。
50。
なんとかなる。
―――――100
辛くなってきた。
「きゃははは。もうおしまい?つまらないよ?」
愉快そうに笑う。
それが勘に触ったらしく、のびたに言った。

「―――――詠唱を始めてくれ」



94 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:11:30.28 ID:C85AzysE0
「――――――I am the bone of my glass.」
 ――――――体は眼鏡でできている。
詠唱が始まる。
これからはのびたは自分との戦いだ。
どれだけ早く、自身に働きかけるかの――――――

「―――Steel is my body, and fire is my blood」
 ーーー血潮は鉄で、心は硝子

そして僕たちは――――
この刃から、のびたを守ること。

「―――I have created over a thousand Items.」
 ―――幾たびの戦場を越えて不敗

思えば、色々あった。
それらのことは一昨日と昨日のことなのに。
すごくなつかしく感じる――――――



95 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:13:16.32 ID:C85AzysE0
「Unaware of loss.」
 ただの一度の敗走もなく。
「Nor aware of gain」
 ただの一度の勝利もなし。

もうのびたには何も聞こえない。
ただ、自分の仲間を信じ、自らの仕事をするのみ。

「―――With stood pain to create Item.」
 ―――担い手はここに独り。
「 waiting for one's arrival」
 道具の丘で、考える。
ああそうだ―――――
最期に伝えなくっちゃ――――
皆――――
「――I have no regrets.This is the only path」
 ――ならば我が生涯に意味は不要ず。

「―――My whole life was“unlimited Item works”」
 ―――その体は無限の道具でできていた。


―――――ありがとう。

96 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:14:26.71 ID:C85AzysE0
驚きを隠せないドラミ。
無理もない。その荒野はまさに今まで概念武装(どうぐ)にのみ頼り続けた男の世界なのだから――

「なに、驚く事はない。見ての通り、これらはアンタの言う。取るに足らない偽物だ
でもな、偽物が本物に敵わないなんて道理はない。それでもアンタが本物を信ずるならば、
その悉くを凌駕してみせよう。」





「――――――いくぞ猫型。――――道具の貯蔵は充分か――――。」



97 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:15:33.15 ID:C85AzysE0
「サァッ!!」
凶器が召還される。
同じものをたぐり寄せ、食い止める。
「何!?」
その僅かな隙のうちに懐に飛び込み剣を振るう。

――――ドラミのポケットには、人を殺すものが多く入っていた。その数実に千と六百。
故に手数ならば最強。しかし、本物に入っているならスペアにも同じものが入っているはず。

「なぜだ!!なぜ贋作なんぞに!!!」
「ハアアアア!!!」
とにかく全力だ。もう何もない。この先にはなにもない。
ただ―――ただ前に走り続けろ―――――

「ならば、地球破壊爆弾で――――」
「させるかぁぁぁぁぁ!!!!!!」
爆弾を無効化させる概念武装(どうぐ)をたぐり寄せる。
もう、この世界なら――――

そう思ったとき、ドラミに突如開いた穴が世界を巻き込んだ。


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/24(土) 12:28:48.41 ID:FXTypx7IO
ドラミのしっぽ引っ張ればおわらね?


107 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:39:05.11 ID:C85AzysE0
「来たか・・・・」
「これは・・・・?」
分からない。でも、どんどんドラミを吸い込んで行く。

「消えはせん!!!」
屈強な鎖が体に巻き付いた。
もう、固有結界は使えない。
故に自分はこの鎖を切らなくてはならない。
「タイムパトロールの強制退去か!!まさかこのようなときに!!!」
タイムパトロールには、その役目から外れてしまったロボットが吸い込まれる穴が存在する。
そう、ドラえもんに聞いた事がある。

「ファァァァァァ!!!」
「ハァァァァァァ!!!」
こうなれば綱引きだ。
しかし、その吸引力は並じゃない。

「駄目だ・・・・」
「だらしないな、のびた。」
「一緒に頑張ろう。のびくん」

――――そうだ仲間がいる。
ぼくには、大切な友達がいるんだ!!

「ハアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!」

バキッと音を立てて鎖はちぎれた。
そして、黄金の悪魔は暗い闇に葬られた。



109 :◆33bYtdFcH. :2007/11/24(土) 12:41:17.58 ID:C85AzysE0
明日から夏休み。
「のびた。夏休み、うちの別荘に来ないか?出来杉も一緒にさ」
僕は今年も親友と一緒に別荘に行く。

――――あれから何年経ったんだろう。
あの後、タイムパトロールが来て色々聞かれた。
ドラえもんのこと。
ドラミの事。
そして―――――ジャイアンの事。

――――のびたについては、概念武装(どうぐ)の許容範囲を超えていなかったのでお咎めなし。
――――出来杉も、東大の現役合格を決めた。
――――しずちゃんも立ち直り、今のびたといい仲だ。幸せになってほしい。
――――そして僕はというと、パパの会社を継ぎ、ラジコンの製作に力を入れている。

―――――いつかジャイアンが世界は素晴らしいって言えるように。


「―――――待ってろよジャイアン。そっちに、僕のラジコン飛んだら。それあげるからさ。」


今日もラジコンが空を舞う。
雲まで飛んでけ。天国まで飛んで行け。

或る晴れた7月のことだった。

ス ネ 夫 が ジ ャ イ ア ン に 立 ち 向 か う よ う で す
               fin

[ 2007/11/24 22:40 ] VIP | TB(0) | CM(37)



奈須きのこ風にしたかったんだろうけどこれじゃただ読みづらい厨二文だわ
三流だな
[ 2007/11/24 23:58 ] [ 編集 ]

なんか一回読んだ事あるような・・・
[ 2007/11/25 00:19 ] [ 編集 ]

中二すぐる・・・
[ 2007/11/25 00:43 ] [ 編集 ]

名無し

これ前も立ってなかった?
[ 2007/11/25 01:12 ] [ 編集 ]

まさに原作レイプ・・・
[ 2007/11/25 05:42 ] [ 編集 ]

テラ中2病wwwwwwww
[ 2007/11/25 09:46 ] [ 編集 ]

スレ中でも言ってたが「――――」大杉www
中二病きめえwwwwwww
[ 2007/11/25 10:43 ] [ 編集 ]

痛すぎて最後まで読めん
[ 2007/11/25 11:54 ] [ 編集 ]

間を表現したかったんだろうが、多用はテンポ崩すだけじゃないかね。
読み手のこと意識してないし、作者のオナニーにしか見えない。

まさに携帯小説。
[ 2007/11/25 14:51 ] [ 編集 ]

自分の文才に酔ってる感がきめぇ・・


文才ないけど・・
[ 2007/11/25 16:05 ] [ 編集 ]

恋空よりもひでぇwwwwww







読んでないけど
[ 2007/11/25 22:19 ] [ 編集 ]

それなりに面白かったよ
[ 2008/04/06 16:16 ] [ 編集 ]

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[ 2020/11/15 20:42 ] [ 編集 ]

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[ 2020/11/16 01:48 ] [ 編集 ]

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