VIPPRE ( ^ω^)は最後まで駄目人間のようです
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( ^ω^)は最後まで駄目人間のようです

( ^ω^)は最後まで駄目人間のようです

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:15:22.87 ID:/Nwd5abGO

季節は夏を越し、徐々に秋になりつつあった。

海水浴を楽しむ者もいなくなり、海岸ではサーフボードを片手に海に飛び込む男が数人いるだけで、夏の終わりを告げていた。

そんな砂浜に、海を見つめながら立ち尽くしている男がいた。

( ^ω^)「………」

彼の名は内藤ホライゾンといい、歳は27歳でまだ若いと言える程の歳だった。

海を見つめる内藤の表情は暗く、どこか悲しげな印象さえ与えられる。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:17:27.07 ID:/Nwd5abGO

少し、海の方へと歩きだす。靴が濡れるか濡れないかの所で立ち止まり、内藤は一人で佇んでいた。

(   ω )「………」

波が寄せては引き、また寄せて、引く。

少しだけ、あの日の事を思い出す。

涙が溢れていた。

涙を拭うこともせず頬を伝う雫は海に溶け、内藤の涙を何度もさらっていく。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:18:53.43 ID:/Nwd5abGO

一歩後ろに下がり、突然しゃがみこんだ内藤は砂浜に指で文字を入れる。


ブーン
ツン


ブーンというのは内藤のあだ名。ツンというのは、内藤の彼女。


だった人の名前。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:19:46.72 ID:/Nwd5abGO

立ち上がり、再び海を見る。

(   ω )「ツン……」


小さく、呟いた。


波音がさらさらと響き、内藤の記憶を刺激する。
日は少しずつ落ちていき、内藤の記憶に重ねていく。

黄昏と、穏やかな波が内藤の記憶に重なり、四年前のあの日を、あの日の君を呼び、内藤の許へ連れてくる。



( ^ω^)は最後まで駄目人間のようです

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:21:22.47 ID:/Nwd5abGO

四年前、内藤が23歳の頃。内藤は一人の女性と砂浜を歩いていた。

ξ*゚ー゚)ξ「ブーン、海が綺麗ね」

内藤を呼ぶ女性の名前はツン。内藤の彼女であり、歳も内藤と同じ23歳。

( ^ω^)「ほんとだお、靴が濡れるからあまり波の方へ行かないようにしてくれお」

ξ*゚ー゚)ξ「えへへ、聞かないもーん」

内藤の言葉を聞かずに波へと歩き、水に触れるツン。履いていた靴は少し泥で汚れていた。

内藤とツンが付き合い始めたのは三年前。
同じ大学、同じバイト先という偶然から意気投合し、それから少しずつ遊ぶようになり、やがては付き合うようになった。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:23:51.50 ID:/Nwd5abGO

水と戯れるツンの方へと歩きだし、後ろから声を掛ける。

( ^ω^)「ツン、ここで少し座るお」

波がこない程の場所に内藤は座りだし、ツンに横へ座るように砂をトントンと叩く。

ξ*゚ー゚)ξ「しょうがないなぁ、もう」

内藤の横へツンがしゃがみこむ。顔は嬉々としていて、尽きる事の無い好意すら憶える。

本来、ツンは余り楽しそうな表情は見せないのだが、今日で付き合って三年目ということもあり、いつもより上機嫌だった。

( ^ω^)「ツン、ちょっと昔話をしようかお」

一方の内藤は、真剣な面持ちでツンを見つめていた。

ξ*゚ー゚)ξ「うん、いいわよ」

海を見つめる二人。波は静かに寄せ、潮風は優しく二人を撫でていた。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:26:09.84 ID:/Nwd5abGO

( ^ω^)「たしか、僕達が初めて出会ったのは僕が新人バイトとして入ったときだったおね?」

ξ*゚ー゚)ξ「そうね、あの時はブーンがレジ打ち間違えてよく私が叱ってたっけ」

ツンが懐かしそうに応える。目を閉じ、クスクスと笑っていた。

ξ゚⊿゚)ξ「内藤くん!いつになったら覚えてくれるの!?」

ξ*゚ー゚)ξ「なんてよく言ってたっけ」

ツンはまたクスクスと笑い、内藤を見る。

( ^ω^)「あの時はツンによく迷惑かけてたお、ごめんお」

内藤も苦笑いをしながらツンを見る。

( ^ω^)「それで、少しずつ話すようになったんだお」

ξ*゚ー゚)ξ「そうね、同じ大学って知ったときはビックリしちゃった」

( ^ω^)「僕もだお、その事を知った辺りから一気に仲良くなったんだお」

内藤は再び海に顔を向ける。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:28:01.29 ID:/Nwd5abGO

ξ*゚ー゚)ξ「そうそう、それで初めて一緒に遊んだときのこと覚えてる?」

ツンが横から内藤の顔を覗き込む。

( ^ω^)「もちろん覚えてるお、ツンが今着てる服も」

ξ*゚ー゚)ξ「よし、合格!」

初めて遊んだときは、服を見に行った。ツンが今着ている白のTシャツに紺色のジーパンは、内藤がプレゼントしたものだった。

まじまじと服を見つめるツンが堪らなく可愛くて、つい財布に手がのびてしまったのだ。

三年以上も経っているのにまだ綺麗なその服は、とても大事に扱っていることが伺えた。

「仕方ないからもらっとくわよ」と言いながらも顔がにこやかだったことをよく覚えている。

( ^ω^)「それから何度も遊ぶようにって、僕達は付き合うことになったんだお」

付き合う時の事を思い出す、少しだけ恥ずかしかった。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:29:33.91 ID:/Nwd5abGO

ξ*゚ー゚)ξ「『僕と付き合ってくれませんですかお?』って、思わず笑いそうになっちゃったわよ
かなり緊張してたんでしょ?」

( ^ω^)「そんなことないお、冷静に言ったつもりだと思うお」


少し照れながら頬を掻く。


ξ*゚ー゚)ξ「嘘、まだその癖治ってないのね」

頬を掻く内藤を見ながらツンは言う。

内藤が嘘をつく時に頬を掻く癖をツンは知っていた。なによりよく内藤の事を見ている証拠でもあった。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:30:45.02 ID:/Nwd5abGO

( ^ω^)「やっぱりツンには勝てないお」

はにかみながら笑う内藤にツンは、当たり前よと誇らしげな表情を見せた。

ξ*゚ー゚)ξ「あの時は仕方ないから付き合ってあげるとか言っちゃったけど、本当は凄く嬉しかったんだからね」

ツンも照れ臭そうに笑った。

そして、付き合った日の帰り道。人のいない時を見計らって、二人は初めてキスをした。

ツンの肩に手を当てて、短く唇を重ねた。

少しの間、お互い目は合わせられなくて、無言で歩いて帰っていた。しかし、その手と気持ちはしっかりと繋がって。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:32:46.87 ID:/Nwd5abGO

ツンと交わしてきたキスはどれも新鮮で、それぞれに思い入れがあった。


楽しいキス。嬉しいキス。自然に重ねるキス。


どれを挙げても不満のない口付け。その中でも内藤が強いて一番を決めるとするならば、二人で初めて迎えたクリスマス。

あの時のキス程、自身に幸せを感じたことはないくらいだった。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:33:51.48 ID:/Nwd5abGO

―――12月25日―――

『今年一番の寒さ、夜には雪が降るでしょう』

朝のお天気ニュースを信じて、街の人々はその身をコートやジャケットに包み、白い吐息を吐きながら朝を迎えていた。

ξ゚⊿゚)ξ「遅いっ!待ち合わせ時間20分も遅刻してるわよ!」

(;^ω^)「ごめんお」

二人で初めて迎えた聖なる夜。世の恋人達、二人にとって大切な日の始まりは、男の遅刻から始まった。

ξ゚⊿゚)ξ「罰として夜ご飯はブーンの奢りっ」

(;^ω^)「サ、サイフの中まで冬にするのかお」

と言いつつも、もともと奢るつもりだったブーンは親指を立て、OKの返事をした。

「別に夜まで一緒に居たいからとかじゃないんだからね」と恥ずかしげに言うツンが、とても可愛かった。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:36:08.33 ID:/Nwd5abGO

それから二人は色々な店をまわり、映画を見たりと充実した時間を過ごした。

すっかり空は暗みを帯び、やがて街にはカップル、寒空の下サンタに扮し客を招く人々。
きらきらと輝くイルミネーションが辺りを支配していた。

ξ゚⊿゚)ξ「もうクリスマスも終わりかぁ……」

内藤の奢りで『少しリッチな夜ご飯』を済ませ、二人は駅前にある噴水脇のベンチに腰掛けている。

噴水から見える七色の光は見るもの全てにやすらぎを与え、周りの雰囲気を神秘的に仕上げている。

そして、楽しい時間も残り僅かになり、二人は残りの時間を大事に、大切に過ごしていた。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:38:35.08 ID:/Nwd5abGO

少し会話をした後、大事なことを思い出したかのようにズボンのポケットを探る内藤。

( ^ω^)「ツン、これ」

内藤がツンに手渡したのは手の平に収まる程の小さな箱。
「開けてもいい?」と聞くツンに「もちろんだお」と返す。

まるでサンタにプレゼントをもらった子供の様に急いで包みを解くツン。

ξ*゚o゚)ξ「わぁ……」

ツンの手に現われたのは小さなピアス。その形は、内藤が純粋にツンを想う気持ち。ハート型。

( ^ω^)「つけてくれるかお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「うんっ」

喜びを表に出し、忙しく自分の右耳についていたピアスと付け替える。

ξ*゚⊿゚)ξ「どう、かな?」

( ^ω^)「うん、とっても似合ってるお!」

噴水から零れる七色の光は、ツンの耳をきらりと輝かせた。

ξ*゚⊿゚)ξ「本当にありがとう。じゃあ、私も」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:41:12.84 ID:/Nwd5abGO

ξ*゚⊿゚)ξ「目、瞑って?」

( ーωー)「ん?なんだお?」

目を瞑る内藤。ツンが何かをガサゴソと探る音が聞こえてくる。

いきなり首にふわりとした感触と、温かみのある感触がした。

ξ*゚⊿゚)ξ「目、開けていいわよ」

目を開ける内藤の首には白色のマフラー、片隅には小さな小さなハート。しかも、聞くとツンの手編みだという。

(* ^ω^)「嬉しいお!ツンありがとうだお」

ξ*//⊿//)ξ「ただ余った時間に暇だったから作っただけなんだから」

そこで照れるツンがまた可愛い。もう、我慢できない。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:43:26.36 ID:/Nwd5abGO

いきなり、抱き締めた。突然の状況にツンは少し驚いていたが、すぐに内藤の背に手をまわしその身を預けた。

熱いねぇと酔った中年男性が言う。そんなこともお構いなしに二人は抱き合っている。

空からは二人を祝福するように、小さくて真っ白な雪が踊っていた。

どのくらい抱き合っていたのかわからなくなる頃、二人は顔を少し離す。


ツンが目を瞑る。


しんしんと舞う雪。寒空の下で、二人は唇を重ねた。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:45:25.30 ID:/Nwd5abGO

ξ*//ー//)ξ「ちょっと、恥ずかしい……」

照れて笑うツン


その姿がまた可愛くて


何よりも愛おしくて


強く、もう一度抱き締めた。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:46:12.71 ID:/Nwd5abGO

こんな




こんな幸せな日々が毎日続くんだろうな




そう信じていた一年目のクリスマスだった――――


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:47:14.46 ID:/Nwd5abGO

~~~~~~

( ^ω^)「遊園地も行ったお」

ξ*゚ー゚)ξ「うん、楽しかったなぁあの時は――」


一年目の夏、二人で行った遊園地。ただ立っているだけで額に汗が滲むほど暑かった記憶がある。

笑顔でいろんな乗り物に乗った記憶。

ジェットコースターを嫌がる内藤を引っ張るツン。

お化け屋敷を嫌がるツンを引っ張る内藤。

それでも笑って、笑って、また笑って。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:48:19.61 ID:/Nwd5abGO

毎日連絡を取り合って


毎日会い、遊んで


毎日笑って


傍からみればそれはとても幸せそうに見えて、羨ましいとも思うだろう


そうやって僕達は共に歩んでいったんだ


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:50:01.62 ID:/Nwd5abGO

二回目のクリスマスも一緒に過ごしたし、プレゼントだって交換した



あれ?



でもなんだろう?この感覚


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:50:54.12 ID:/Nwd5abGO

( ^ω^)「この三年間、楽しいこともあったり喧嘩もしたりしたおね」

ξ*゚ー゚)ξ「まぁね、好きなんだから喧嘩も仕方ないかな、っと」

ツンは何か作業をしていた。ふとツンの足元を見ると


ブーン
ツン


二人の名前が書いてあった。
ツンを見る内藤に気付き、ツンは内藤にえへへと照れ臭そうに笑いかける。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:52:03.44 ID:/Nwd5abGO

ツンは手で砂を掬い、さらさらと手から溢している。


言わないと


( ^ω^)「ツン、今日僕は君に言わなければいけない言葉があるんだお」

内藤が真剣な顔つきをし、ツンを見る。ツンは掬った砂を溢している。

ξ*゚ー゚)ξ「ん?なぁに?」

砂を掬い、さらさらと溢す。

( ^ω^)「ツン」


砂を掬い、さらさらと


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:55:54.35 ID:/Nwd5abGO

さらさらと




( ^ω^)「僕と、別れてほしいお」




手が、止まった


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:56:55.51 ID:/Nwd5abGO

ξ ⊿ )ξ「……え?」

内藤が言ったのは、突然の別れの言葉。
想像もしていなかった状況に、ツンはまだ何が起こっているのか理解できずにいた。

( ^ω^)「聞こえなかったかお?」

「もう一度」言い掛けた時、ツンが割って入り

ξ ⊿ )ξ「……わからないよ」

小さく、聞こえるか聞こえないかわからない程の声で呟く。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:58:13.45 ID:/Nwd5abGO

ξ ⊿ )ξ「わからないよ……なんで別れなきゃいけないの?」


波は静かに揺れている。


ξ ⊿ )ξ「どうして?」


潮風は少し強みを増す。


ξ ⊿ )ξ「理由は?」


内藤はただ黙っている。


ξ ⊿ )ξ「答えてよ」



返事が、返ってこない。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 17:59:45.14 ID:/Nwd5abGO

ξ#゚⊿゚)ξ「答えてよ!」

声を荒げて立ち上がる。
それでもなお、内藤は俯きながら黙っている。

ξ#゚⊿゚)ξ「確かに喧嘩も沢山したし、私が悪いと思ったことだってある!
それでも私達は乗り越えてきたじゃない!」

ξ#゚⊿゚)ξ「なんで、なんでいきなり!」

その言葉に内藤は立ち上がり、ズボンについた砂を払う。

向き合ってはいるが、目を合わせようとはしなかった。

ツンは内藤の返事を待つのだが、内藤は口を開けようともしない。

沈黙に耐えきれなくなったツンがまた、口を開く。


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:03:34.52 ID:/Nwd5abGO

ξ ⊿ )ξ「もしかして」


弱々しい声で言った。


ξ ⊿ )ξ「もう、好きじゃないの?」


いつも強気なツンが、震えている。


(   ω )「……ちがうお」



ξ ⊿ )ξ「頬、掻いてるよ」


気付かなかった、無意識に頬を掻いてしまった。


ξ ⊿ )ξ「そうなんだ」


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:05:36.20 ID:/Nwd5abGO

内藤は気付いてしまった。


自分の気持ちに、ツンに対する想いに。


好きだけど、愛してない。


昔程の気持ちが、だんだんと薄れていく自分に。

毎日会ってきた三年という年月は、内藤の心の奥底で『慣れ』と『飽き』を生んでしまった。

そしてそれらは着々と育っていき、くっきりと形になる。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:06:36.60 ID:/Nwd5abGO

ξ ⊿ )ξ「ねぇ、何も言わないの?」

ツンを見る。その小さく華奢な体は震え、涙を堪えている。

(   ω )「…………」

何かが胸に突き刺さる感触を憶え、自分が自分でないような、ふわふわとした感覚に陥る。

頭の中に引っ掛かるものが一つ。

なにか、なにか大切なものに気付かない。わからない。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:07:52.23 ID:/Nwd5abGO

(   ω )「ごめんお」

ξ ⊿ )ξ「―――」

ツンがその場に崩れ落ち、顔を俯ける。内藤はなにか声を掛けようとするのだが何を言えばいいのか思い浮かばないようで、ただツンを見続ける。

夕日できらりと輝かせたピアスが内藤を責めるばかりで、暫くの沈黙が流れていった。

幾分か経ち、ツンに変化が起きる。

それは涙。目から零れた雫がぽたぽたと砂に吸い込まれていく。

いつも気丈で強気なツンが初めて見せた一面が、内藤を突き刺す。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:08:59.24 ID:/Nwd5abGO

ξ;⊿;)ξ「ねぇ!考え直してよ!」

突然顔を上げ内藤のズボンにしがみつき懇願する。涙に濡れた顔は化粧が取れ、ぐしゃぐしゃになっていた。

ξ;⊿;)ξ「なんでもするから!
嫌いなところがあったら直すし、もっとブーンが好きになる努力もするから!」

ツンの涙は絶え間なく流れ続けている。

顔に張りついた髪を気にすることもなく、ただ泣き続けている。

その涙を流させたのが他でもない自分だ、という事に内藤は少しだけ自責し、目を逸らしていた。

耳に入るツンの漏れた声を聞きながら流れる時間は、短いようにも長いようにも感じさせられた。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:10:02.43 ID:/Nwd5abGO

どれ程の時間が経っただろうか、気が付けばツンの声は聞こえなくなっていた。

再び目を向ける。内藤のズボンにしがみついていた手はいつの間にか離れていて、流した涙を拭っていた。

何か声を掛けようとしたのと同時にツンが立ち上がり

ξ゚-゚)ξ「……ブーン」

( ^ω^)「……なんだお?」

少しの間が空き

ξ゚ー゚)ξ「ありがとね」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:10:57.18 ID:/Nwd5abGO

目を真っ赤にしたツンが笑顔で言った言葉。

それは、感謝の言葉。

意味がわからなかった。ツンの気持ちを踏み躙り、剰え涙まで流させてしまったのに。


返事が、できない。


返す言葉が見つからない。


僕は何をしてるんだろう?


答えは、でない。


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:11:50.26 ID:/Nwd5abGO

ξ゚ー゚)ξ「私、行くね」

(   ω )「………」

返事は、無い。

ξ ー )ξ「バイバイ」

顔を俯け黙っていた内藤に別れの言葉を告げ、その場から離れていったツン。


二人の関係の終わりを表すかの様に強く寄せた波が、地面に書いたお互いの名前をさらっていった。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:12:48.43 ID:/Nwd5abGO

~~~~

( ;ω;)「……うぅっ……」

ツンを振った四年前を思い出し、やっと出せた答え。


それは、ただ自分が馬鹿だった事。

( ;ω;)「僕は……僕は……」

『飽き』『慣れ』そんな子供染みた理由で彼女を一方的に突き放してしまった。

自分の為に怒り、笑い、想い、そんな一途で純粋な彼女を。


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:13:44.19 ID:/Nwd5abGO

謝り、連絡などすればもしかすれば戻れたかもしれない。

しかし、内藤はそれらをしようとはしなかった。

それは意地や何かだったのかもしれない。

( ;ω;)「僕は馬鹿だお……」

今になって彼女を欲している、今になって後悔している。

涙が、止まらない。

そんな内藤を叱咤する様に、強く寄せた波が足元の名前をさらっていく。あの時と同じ様に。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:14:35.60 ID:/Nwd5abGO

涙は更に溢れていった、止める事などできなかった。


( ;ω;)「ごめんお!ごめんお!」


謝ったところでどうにもならないことはわかっている、それでも謝ることしかできない。

内藤の流した涙は、いつまでも止まることはなかった。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:15:27.41 ID:/Nwd5abGO

ツン、僕は馬鹿だお


馬鹿で、その上馬鹿で、何よりも馬鹿で、馬鹿だったお


幾ら謝っても、許してくれないおね


わかってるお


でも、もし


『もし』があるなら


もう一度、君と


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/16(火) 18:16:16.69 ID:/Nwd5abGO


( ^ω^)ブーンは最後まで駄目人間のようです

END



57 : ◆aQrp5SsEyk :2007/10/16(火) 18:19:27.17 ID:/Nwd5abGO

これでおしまいです。支援などありがとうございました。
新人合作も宜しくです。ではでは。

[ 2007/10/16 23:33 ] VIP | TB(0) | CM(35)



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